笑いたいときに笑っているか?

笑いを求める現代人

今朝、新聞を開いたら、ある一節が目に入ってきた。

「昔のお客は笑うまいとし、いまのお客は、とにかく笑おうとする」

朝日新聞の1面に毎日掲載されている
「折々のことば」というコーナーで紹介された、
立川談志の一言である。

そら恐ろしい言葉である。

立川談志によれば、
昔の客は落語家の芸の出来を吟味しようと
寄席を訪れ、ウケを狙った「底の浅い」噺には
そっぽを向いていたのに、
今の客は笑おうとして笑っているというのだ。

僕はこの言葉を通して彼の生前から日本人はすでに
自然な笑いというのを忘れていたのではないかと感じた。

現代人はとにかく笑わない。

街を歩けば笑顔の人よりも
不機嫌そうな顔に人とすれ違う方が
圧倒的に多い。

たまに出会う笑顔も、
よくよく観察すれば
目が笑っていない
不自然な愛想笑いであったりする。

ちょっと話して笑えば、
「こんなに笑ったのは久々だ」
と口にする人も少なくない。

今は亡き立川談志が
今の客はとにかく笑おうとすると感じたのは
だからこそなのかもしれない。

つまり、現代人は
日常生活で本気で笑うことが少ないからこそ、
寄席のような場に
笑いを意図的に求めにいくのだろう。

 

笑いが作られる時代

しかし、笑おうという意思が働いて
出てくる笑いというのは、
とても自然な笑いとはいえない。

そもそも、感情を自分の意思に従わせて出そう
ということ自体が不自然だ。

涙が自然に溢れてくるものであるように、
笑いも自ずと顔に現れるものであるはずだ。

喜怒哀楽といった感情は、
自ら起こそうと思って起こるものではない。

ところが、現代では笑いが意図的に作られる。

それは、テレビなどを見ればよくわかる。

お笑い番組やバラエティ番組などを見てみると、
ボケやオチなど笑いを取りに行っている場面では
必ずといっていいほど、
スタッフやスタジオ客の笑い声が入る。

これは確かアメリカのテレビ文化が発祥だったと思うが、
スタッフなどの笑い声が画面を通じて
聞こえるようにすることで、
「ここは笑える場面なんですよ」
と視聴者に意図的に教えているのだ。

テレビにつられて笑うといった経験は
結構誰にでもあるのではないだろうか?

僕自身、心から笑えるわけでもないのに、
テレビにつられて笑ってしまうことはよくある。

そうした自分の行動を振り返ってみると、
笑いは確かに作られる部分があると感じる。

 

自分の笑顔を知っているか?

こうした作られる笑いというのは
必ずしも悪いわけではないのかもしれない。

しかし、テレビや周りにいる人たちに合わせて
笑ってばかりでは、
自分の本来の笑いのツボがどこであるのか
忘れてしまいかねない。

事実、テレビや周りにいる人に
合わせて笑うということは、
言い換えれば他人の目を
よく気にするということでもある。

自分の「これは笑えない」という感性を
無視するということである。

他人の目を気にして笑顔を作る人間が、
自分の笑いのツボを目の前にしたときに、
果たして自然に笑えるだろうか?

周りに合わせて笑うときのように、
周りに合わせてブスっとしたり、
苦笑いをしたり、
表情を硬くしないことはないだろうか?

僕の友人には、
どうしても他人の顔色を伺ってしまう友人が
何人かいる。

そのうちの一人は、
彼の年の方が上だというのに、
何かを発言するたびに、
僕の顔色を伺う癖がある。

笑顔もどこか社交的だ。

そして、僕はまだ、
彼の本気の笑顔というのを知らない。

かつては僕も
なかなか本気で笑えない人間だった。

そして、周りの目を
無意識に考えてしまうような人間だった。

本気で笑えるようになるためには、
いくつか山を越える必要があった。

自分の中の酸いも甘いも
直視する必要があった。

でも、本気で笑うことができない人生は
とても退屈で寂しくて、
生きる意味すらわからなくなる世界だ。

自分の本心がわかって初めて、
自分の本当の笑顔というのを知って初めて、
僕は自分の人生は退屈なんてものじゃない
ということに気がついた。

学生の頃に特に好きだった先生が一人いる。

その人は白いひげを生やした仙人のような風貌で、
年齢はおそらく60歳前後だったと思う。

だけれども、その先生の笑顔は
教室にいたどんな学生の笑顔よりも若々しく、
また純粋だった。

その先生はいつも言っていた。

「ありのままの自分を知りなさい」と。

 

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