現代社会を表す単語、資本主義。
この資本主義は、競争原理によって経済的な豊かさを実現しているという見方と、格差社会を作っているという見方など、その善悪については様々に解釈されています。
ただ、良い悪いは別として、現代社会で生きていくには、お金のやり取りを続けなければならないということは事実でしょう。
ここでは、そんな資本主義社会で、どのように生きていけばいいかを、考えてみました。
もくじ
ざっくりとした資本主義のメカニズム
『資本論』に書いてある理論によると、資本主義の誕生は、大雑把に言うと貨幣の誕生による必然でした。
貨幣は、物々交換で煩雑だった価値の比較をスムーズにするための、価値尺度として誕生しました。
つまり、貨幣を介することによってモノ同士の(交換)価値の比較が容易になりました。
これは
W-G-W’
(W:モノ・商品・サービス等、G:貨幣、W-G-W’は「モノを売ることでお金を得て、そのお金で別のモノを買う」ことを意味する)
で表せます。
ここでは、人間はW’を得ることが目的です。
一方で、世の中では
G-W-G’
という図式が存在すると、『資本論』では説かれています。
これは、「お金でモノを得て、それを売ることで再びお金を得る」ことを意味しています。
この図式では、G<G’でなくては、この行為をする人間にとって意味がありません。
なぜなら、G=G’なら、途中でモノを介する意味がないからです(ここでは、なぜGがWを介することによってG’へと増幅するのかは取り上げません。一応単純に述べると、このWには労働力が加わるという過程があるから、GはG’へと増幅します)。
さて、G<G’であるということは、「G-W-G’」では、人間はGの増幅を目指していることになります。
そして、こうした経済活動が、富のあくなき増大を目指す、資本主義の一つの基盤になっています。
つまり、ざっくりといえば、資本主義は、お金が存在するから発生し、かつ人間がお金を目的に行動をするから成り立っていのです。
周囲の人を助けるための自己投資が資本主義を克服する
ところで、人間はなぜお金を得ることを目的として行動するのでしょうか?
もちろん、個人レベルでは様々な理由があると思います。
生活を成り立たせるためだとか、趣味のため、旅行のため、両親や子供を支えるため、などなど、人によってお金を稼ぐ理由は様々です。
ただ、GDPや銀行通帳、株価などの増減に一喜一憂している人が多い現状を見ると、やはりお金を最終的な目的としている人間は多いと思えるし、そういう人間が中心になって世界を作っているようにも見えます。
しかし、その誕生の経緯から見れば、お金は本来、モノやサービスなどを流通させるための道具です。
つまり、人間にとってお金を使うもともとの目的は「W-G-W’」を成り立たせること、より丁寧に言えば、「今、自分が持っている(使用)価値を、よりよい(使用)価値にすること」がお金の目的でした(同様に、お金を最終的な目的に行動しているどんな人間も、根源的には安心感や優越感などといった数字では表せないお金による何らかの(使用)価値を目的にしています)。
さて、この「自分の持っている(使用)価値」は、「自分」(A)以外の人間(B)にとっては、「Bの問題を解決する価値」である必要があります。
なぜなら、BがAの使用価値を認めなければ、AはW’(よりよい使用価値)を手にするためのGを手に入れることはできないからです。
そのため、Aが満足するためには、自らの使用価値を常に周りの人から必要とされるものとしておく必要があります。
では、Aはいかにして自らの使用価値を周りの人から常に必要とされるようにするのでしょうか?
Aの使用価値の維持、及び増幅、または変革はどのようにして達成されるのでしょうか?
それが達成されるのはただ学習によってのみだと、僕は考えています。
そして学習は、いわゆる自己投資によってのみ成り立ちます。
これを知っている人は、「W-G-W’」において、周りの人に対する自己の使用価値の発展を可能にする「W’」を選びます。
これが自己投資と呼ばれるものの本質です。
そしてこの自己投資は、真に個人的な経済的自由を得る方法であり、また、富の飽くなき追求という資本主義的な世界観から抜け出す方法でもあると僕は考えています。
というのも、効果的な自己投資をしている人は、周りの人から常に必要とされるように行動しているからです。
世界から必要とされる人は、常に生きていく場があります。
ちなみに、この自己投資には条件があります。
それは「周りに提供する自分の使用価値は、その周りの使用価値を発展させるものでなければならない」ということです。
なぜなら、周りの人の持つ使用価値の劣化は、自分の使用価値が評価されるための基盤を失うことを意味するからです。
たとえ遺伝子組換えが技術的には素晴らしいものであっても、それによって周囲の人や環境が害を受けるのであれば、その技術を開発した人間も遅かれ早かれ何らかの形で孤立するでしょう。
また、自己投資市場でありがちな高額塾なども、そこに入った人にきちんと寄り添わず、ただのノウハウコレクターにさせるようなものであれば、その塾の評価は年々落ちていきますし、ひどい場合には訴訟問題にもなるでしょう。
自己投資において、自らと世界とが共存関係にあることは常に意識しておく必要があるのだと思います。
自らの使用価値は、周囲の持てる使用価値を発展させ、彼らの経済的自由をも実現するものでなければならないのです。
以上が、僕が考える資本主義の克服の仕方です。
まとめると、周りの人の使用価値を発展させるような健全な自己投資は、自らが周囲から必要とされる状況を生み出し、個人的な経済的自由を実現し、しかも周囲の経済的な自由も実現するということです。
真の豊かさは数字の成長にではなく、人間性の成長にあるというわけです。
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