ライターはAIに仕事を奪われるか?

今や新聞記者もがAIの仕事

先日、「三万人のための情報誌」として、
政官財などの各界のトップリーダーたちに
長く読み継がれている
『選択』という雑誌に、
「『ロボット記者』が米欧新聞界で活躍」
という記事が載っていました。

これによると、
人手の足りていない地方紙だけでなく、
ワシントンポスト紙やAP通信、
ウォール・ストリートジャーナルなど
政界中枢部の人々がしっかりと目を通すような
正統派の主要紙でさえ、
すでに記事の作成をAIに任せているようです。

ワシントンポスト紙は2016年の時点で、
リオデジャネイロ・オリンピックの記録配信や
結果速報をAI記者に任せていました。

日本でも、朝日新聞が甲子園の記録を
AIに分析、記事を執筆させています。

AIは、記者という職業に確実に入り込んできています。

専門家がどう考えていたかは知りませんが、
僕が知る限りでは文章の執筆は
機械には取って代わることができないだろうと
長らく言われていました。

それは、文章というものが、文法こそあれ、
とても複雑な構造をもって書かれるからに他なりません。

最近ではだいぶ精度は上がってきているとはいえ、
一昔前のグーグルによる翻訳を見れば、
機械にとっては文章を読み取ることも、
それを正しく伝わるように書き綴ることも、
とても難しいことだったことがよくわかります。

ところが、この『選択』の記事によると、
AIはすでに表現豊かに文章を書いているといいます。

スポーツ記事では
「この勝利で首位に浮上」
「その試合でどの選手が活躍したか」
などの情報もしっかり入って、
人間の記者が書いたものと
見分けがつかないようです。

こうしたAIの進歩を見ると、
僕を含めたライターの人たちは、
大きな不安を覚えることでしょう。

実際、新聞記事のような高度に見える文章を
AIが書けるとなれば、
今あるライター職のほとんどは
機械にとって変えることができます。

ライターという仕事が営業とは違い、
直接にお金を生み出すわけでもないのに、
人件費という大きなコストが
かかるということを考えれば、
何かしらの情報発信事業をしている企業が
AIライターを頼り始めるのは
時間の問題だろうと思われます。

しかしながら、
僕はライターという職業はなくならないと
楽観的に思っています。

もっとも、なくならないとはいっても、
ライティングという行動を
ただの情報伝達の行動だと考えているライターは
遅かれ早かれ職に困ることになるでしょう。

しかし、言葉が持つある性質を知っており、
またその性質を
しっかりと使いこなすことができるライターは、
たとえ仕事の形が変わったとしても、
永遠に生き残ることができると思うのです。

では、その鍵となる言葉の性質とは、
一体なんでしょうか?

 

言葉の裏には実体がある

先日、ツイッターでとある投稿を見かけました。

それは端的にいえば、
ツイッターの投稿はただの独り言で、
別に深い意味はないから、
プロのライターに代筆をお願いしてみたら、
期待とは全然別の、出来の悪い文章が上がってきました、
というものでした。

僕はこの投稿をした彼の普段の文章を
読んだことはないけれども、
この投稿を読んで、
彼は文章というものをただの言語情報の伝達としか
思っていないんだろうなと感じました。

言葉というものは本来、
それが表す実体が何かしらあります。

「机」という言葉には
四本だか一本だかの足の上に平たい板が乗った物体が、
「走る」という言葉には
足を力強く蹴るといった行動が、
また「道徳」や「倫理」といった抽象的な言葉にも
「周りの人を大切にすること」などといった
具体的で目に見えるような事例が存在します。

こうした具体的な存在を離れては、
言葉は語られたとしても実体を持たない嘘の存在になります。

実際、「嘘」というのは、実在しない存在を
言葉のみで表したものです。

ところが、本来現実世界の実体とは
切っても切り離せないはずの「言葉」が、
確かに実体を言い表しており、
また嘘と言い切れるわけでもないのですが、
実体と関係を絶ってしまっている場合があります。

それは、頭の中の思考のみによって、
物事を考えている場合です。

頭で物事を考えているとき、人は言葉を使います。

「今日の夕ご飯は何にしよう」ということも、
言葉を頭に浮かべて考えることがほとんどのはずです。

実際、言葉を思い浮かべなければ、
人は論理的に考えることはできません。

ただ、この
「夕ご飯は何にしよう」
という言葉を思い浮かべるあなたの前には、
「夕ご飯」という存在はないはずです。

その代わりに存在するのは、
ペコペコになったお腹か、何か食べたいといった欲求か、
それとも腹をすかせた子どもたちか
といったところでしょう。

そうした実感できる実体があって初めて
人は「夕ご飯」といった言葉を
連想するわけです。

こうした連想は果てしなく続きます。

良くも悪くも頭脳が発達した人間は、
実体を見ることがなくても、
言葉によって自分の思考を進めることができます。

そしていつしか、言葉こそが真実であると勘違いをし、
「お腹が減った」と書けばお腹が鳴っていなくても
自分はお腹が減っているのだと思い、
「この映画感動した」と書けば
胸に何かを感じていなくても
面白かったと思い込むようになります。

ツイッターの投稿をプロに依頼した彼も、
多かれ少なかれ、
言葉についてそうした勘違いをしていたと思われます。

自分の独り言は、
実体を持たない単なる言語情報なのだから、
他人に依頼しても同じようなものが投稿されるだろうと
思っていたのでしょう。

しかし、たとえ独り言であっても、
その独り言が発せられる背景には、
彼の感覚を通した実体験があるはずです。

そうした実体験という裏の事実がなければ、
たとえ代筆のプロでも何を書けばいいか
わからなくなるのです。

 

人間のライターとAIライターの決定的な違い

ツイッターの投稿代筆で失敗した彼の例から、
言葉の性質はある程度わかっていただけたと思います。

言葉というのは、「事実」が裏になければ意味を持ちません。

そして、「事実」は、僕たち人間においては、
自分自身の五感を通して把握されます。

この五感を通して把握された事実というのは、
デジタル的ではなく、アナログ的です。

これは例えば、おいしいと感じたラーメンの味を
「おいしさ10点満点中8点」などといった
パラメーターで僕らは感じているわけではない
ということです。

「おいしい!」といった言葉の裏には
言葉では表しきれないほどの
香りや味や見た目といった
感覚的な事実が存在しています。

こうした「なんともいえない」感覚を把握することは、
その性質からいってAIには無理です。

なぜなら、AIなどの機械は、目の前にした物事を
数値的に把握することはできても、
数値的に把握できない事実は切り落とされてしまうからです。

ラーメンでいえば、塩分濃度はどの程度で、
油はこれくらい入っているということは表せても、
どれくらいおいしいかといった主観的、感覚的な事柄は、
言い表すことができません。

一方で、人間のライターには主観や感覚が存在します。

そして、同じラーメンを目の前にしても、
「おいしい!」と言う人と「マズい!!」と叫ぶ人がいます。

そんなことはAIにはあり得ません。

そして、このAIにはあり得ない感覚の表現をすることこそが、
ライターがAIに淘汰されないために必要な要素です。

AIは人間には想像もつかないような創造をすると
いわれています。

例えば、ワトソンという名のAIは、
世界中にあるあらゆる料理のレシピを分析して、
トルコ料理とイタリアンだったかを掛け合わせた
全く新しい料理を作りました。

しかし、こうした創造もただ単に
数値的なデータを総合して導き出した一つの答えです。

人間の創造は、
そうした数値では計りきることのできない感覚から
生み出されます。

それはライティングという仕事においても同じです。

感性を研ぎ澄ませた創造をやめなければ、
ライターという職業は、
そう簡単に機械に奪われることはないのです。

 

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先日、あるネットショップ運営会社の
社長さんから面白い話を聞きました。

そのネットショップでは、
日本全国で働く一流の職人さんが作った、
一流の商品だけを扱っています。

そのため、商品を紹介するライターさんも
経験豊富な人を多く採用しています。

しかし、その会社で
過去最高の売り上げを叩き出したのは、
経験豊富なライターさんではありませんでした。

それはなんと、ライターの経験がほとんどない
入社1年目の人だったのです。

ネットが発達した現代、動画や写真があるとはいえ、
ライティングはやはり大切なスキルです。

ただ、人の心を揺さぶり、
果てはお金まで呼び込むような文章は
プロを自称するライターでも、
また、あらゆるノウハウを駆使しても、
なかなか書けるものではありません。

人の心が動くかどうかは文章のスキルではなく、
文章に込めた「想い」や「志」で決まるからです。

想いや志が強く、はっきりしていれば、
あなたが書いた文章は
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『想いが伝わらないのは結局、
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また、僕が文章を書く理由はこちらから。

→『僕は君に芸術家になってもらいたい』

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